11月1日(金)、第4回人間講座を開催しました。本学の高橋麻織教育学部准教授を講師に迎え、「『ジェンダーから読む源氏物語』光源氏はロリコン・マザコンか!?」と題して講演いただきました。
講師は、最初に、源氏物語の作者が紫式部であることは紫式部日記から明らかであるとし、当時、物語を読む男性は珍しかったがその中で男性読者3名(藤原公人、藤原道長、一条天皇)の読後感想について説明しました。
次に、「蛍」巻の物語論と日本紀(漢文で書かれた歴史書)をジェンダーバイアスの観点から比較をし、紫式部は女性が当時発言できないことを物語の中の男性である光源氏に言わせる事によって、紫式部の思いを執筆したと説明しました。
さらに、マザコン説については母恋物語と理解し、ロリコン説については少女だから惹かれたのではなく母親に似ているから惹かれたのではないかと述べました。また、清少納言をインスタ女子、紫式部をXユーザーと例えて比較をしたことや、どの巻から書いたのかの説明を大河ドラマに触れながら解説をしました。
最後に、寛弘5年11月1日(講演日と同じ日)は、源氏物語成立が確認できた日であり「古典の日」となっていると説明しました。また、准拠論から光源氏のモデルは誰なのかについて触れました。
講師は、平和な時代にこそ源氏物語をジェンダーの観点から考える機会ではないかと述べ、源氏物語をあらたな視点で考える機会になりました。
参加者からは、「光源氏のロリコン・マザコンか!?について新たな解釈に気づきました」「善悪の判断など現代の常識にとらわれがちだが、古典を読むうえでは当時の常識を知ることが大事だと思いました」「源氏物語の関連本を何冊か読みましたが、やはり生の先生の話は他の専門分野の話も聞けて面白かったです」「ジェンダーというテーマを源氏物語で語るという視点が興味深かった」などの感想をいただきました。