第4回人間講座（視聴期間2023年10月20日(金)～30日(月)、オンデマンド映像配信にて）を開催しました。佐藤文香一橋大学大学院社会学研究科教授を講師としてお迎えし、「人間に「性」を読み込む―ジェンダー研究の基本的視座」と題して講演いただきました。

 講師はまず、「性の多様性」について、性にはさまざまな概念があるとして、生物学的な性（Sex）、社会学・文化的な性（Gender）、性的欲望に関する行動様式（Sexuality）に分けて説明し、性は男と女の二つに分けられるものではなく、さらに分類したとしても明確に位置付けることが困難となるようなさまざまな事例があることを説明しました。「LGBT」という「人」を指す概念から「属性・特徴」を指す性的指向（Sexual Orientation）と性自認（Gender Identity）が何であるかに拘わらず、人々を平等に尊重するということが開かれた共生社会の中で重要なのでは？と問われました。

 次に、性についての「知」というものが可変性をもっていること。また、社会での経験や男女、それ以外の差異による差別や不平等の「当たり前」は、いつの時代にもどんな文化でもあったわけではないことを、さまざまな異文化や歴史を紐解きながら見ていきました。

 最後に、「知」はアップデートされ続けていますが、日本は世界と比べてジェンダーギャップ指数が非常に低く、まだまだ男女格差が大きな国であるとまとめられました。