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◆2021-12-13
第44回椙山フォーラムを開催しました。

123()1212()に椙山人間学研究センター主催の第44回椙山フォーラム『生物多様性-人間と生きものとの関係-』をオンデマンドによる映像配信にて開催しました。

1部では日本野鳥の会会長、上田恵介立教大学名誉教授に「生物多様性はなぜ大切なのか?」と題し、地球上に多様な生物がいることは人間にとってどういう意味を持ち、自然や生きものを見て感じる感情をなぜ人間は持つようになったのかについて講演いただきました。
上田氏は、人間以外にあらゆる環境に対応できる生物は存在せず、地球上の生きものは自然に適応するために、いかに自分自身を変化させ他の生きものと相互作用しながら生きてきたかを説明されました。そして、生物多様性は人間にとって「生物資源として」「健全な生態系を守る」「人間の精神の発達」の3つの点において重要であり、その中でも人間の精神への発達について、バイオフィリア(生命愛)は本能的な人間の遺伝子に組み込まれた反応であるため、心の形成は子供のころに生きものと触れ合うことで発達し、脳は育った環境や見ている景色から世界観を作り出すと説明されました。また、自然と離れた都会で生活する子どもたちが、心のデザインをどうしていくのかが心配であると述べられました。


2部では京都大学霊長類研究所所長、湯本貴和教授に上田氏の講演についてコメントをいただきました。

湯本氏はバイオフィリアに関連して、人類は狩猟採集段階から生物の種類を判別し適切に判断して生活してきたが、農業が始まると生物多様性を下げて特定の動植物を飼育栽培するようになり、害虫・雑草などの排除の思想が生まれ、バイオフォビア(生物嫌い)を生みました。昆虫生態学者の桐谷圭治氏が指摘する「消毒思想」で、現代人ではついに天敵も含めて栽培植物・家畜を除く生物を身の回りから排除する傾向が著しいことをお話されました。また、生物多様性には一旦絶滅すると復活できない「遺産的価値」、食べ物や文化的な利用を含めた「機能的価値」、そして特定の生物が存在することが多様性の指標となるという「指標的価値」の三つの価値があり、それぞれについて違う観点で論じなければならないと説明されました。


3部では椙山人間学研究センター主任研究員、杉藤重信本学人間関係学部教授を含めた三名による総合討論を行いました。都会で生まれ育った子供がどう育つのか、自然がないのが当たり前という刷り込みが行われるのもリスクであり、また、親からのバイオフォビアの刷り込みも問題となり、人類の過半数がそういう世代になった時が人類滅亡への道であり、生物多様性を守ることの重要性は人類存亡の問題に直結するのではないかという結論でフォーラムは終了しました。

三名の写真.jpg

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