椙山人間学研究センターの椙山フォーラムと人間講座をとおした年間共通テーマとして、2021年度は「動物と人間」としました。

昨今、野生動物が里に近づきニュースで取り上げられます。たとえば、クマやニホンシカ、ニホンザルなどの「獣害」がその例でしょう。また、都市部でもゴミをあらすカラス対策もイタチごっことなっているのは、日常のことです。また、アライグマなどの外来種による食害などもしばしば報じられているところです。あるいは、コウノトリの復活が話題になったりもしますし、愛知県では2002年に「藤前干潟」がラムサール条約に登録され、ゴミ埋立処分場の問題から、ゴミ処理問題が大きく取り上げられたことをご記憶でしょう。

こうした事象の背景には、都市環境への野生動物の適応、保護動物の保護活動と個体数管理の難しさ、外来種の侵入、また、里山や里海の大きな環境変化が関わっていること、さらには、過疎化や高齢化が人間の側の課題として控えていることは言うまでもありません。

さらにいえば、家畜のニワトリやブタの鳥インフルエンザや豚熱の蔓延は野生動物がかかわっていますし、新型コロナ・ウィルスなどの人獣共通感染症の問題も昨今の最重要課題となっています。これもまた、ひろい意味で関連する事象といえます。もちろん、昨今しばしば話題にあがるSDGｓ（Sustainable Development Goals）もまた関連しています。

椙山人間学研究センターでは、こうした現状を踏まえて複合的なアプローチによって「動物と人間の」諸問題を取り上げることは喫緊のテーマと考えました。そこで、2021年度の人間講座と椙山フォーラムでは「動物と人間」を共通テーマとして、日本における動物と人間の相互関係の現状について理解を深めていきます。

2021（令和3）年度もまた、新型コロナ蔓延が続く状況が継続していることをふまえて、昨年度と同様に、オンディマンドビデオによる配信を行う予定でいます。ふるって参加登録いただきますよう、ご案内申し上げます。