Sugiyama 椙山女学園

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◆2020-12-07
2020年度第2回人間講座を開催しました。

1016日(金)~17日(土)、椙山女学園大学文化情報学部教授の黒田由彦氏、人間関係学部准教授の三浦隆宏氏、椙山人間学研究センター主任研究員・人間関係学部教授の杉藤重信氏の3名による鼎談形式で令和2年度第2回人間講座「新型コロナと人間」をオンデマンドにより開催し、多くの方にご視聴いただきました。

最初に杉藤氏は、新型コロナウイルスの感染防止に最も良いのは人と接触しないことであるが、それは人間社会の成立を阻むものであり、感染について人文科学からのアプローチを考えてみたいと述べました。その中で、人類学者の西田正規氏が述べた「人類は逃げる社会から逃げられない社会へ」という言葉を引用し、人類は進化の過程で狩猟社会から農耕社会へと移り、人口が増加することにより身近な動物を家畜化するなど生活環境を変化させ、定住革命をもたらした。しかしながら、それは感染源と感染先との分離が難しくなり、感染症の蔓延に至ったことから人間中心主義の再考と様々な生物との共生を考える必要があるのではないかと説明しました。

次に黒田氏は、社会学の立場から「日本の社会システムの脆弱性」を指摘しました。その中で経済的発展により周辺国との繋がりが緊密になり、人々の盛んな移動が感染をもたらしていると述べました。さらに、このようなグローバルな視点に立った考え方を政治や官僚機構が正しく評価できないため、感染症対策と経済対策の両立が難しくなっている。もっとグローバルな視点で検証することが大切であると説明しました。

次に三浦氏は、杉藤氏、黒田氏の説明を受けて哲学、倫理学の観点からコメントを述べました。その中で、様々な専門家が感染対策を「専門知」という限られた知識によって対応をした結果、感染を避けるために人と接触しないことを選択し、人々の分断を生んだのではないか。しかし、コロナ禍では人類を共通の問題点に立たせていることから、多くの人々の知識を結集することにより連帯感をもたらし、世界が協力し合うチャンスになるかもしれないと説明しました。

最後に杉藤氏は、新型コロナウイルスの現象が、日本社会の脆弱性をあぶりだしたことは確かであり、否応なしに社会の在り方、私たちの考え方を変えていかなければならいないのではないかと問いかけ、結びとしました。

黒田先生.jpg 三浦先生.jpg

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