10月7日(金)、平成28年度第3回人間講座(人間論シリーズ6 人間は、理解したがる存在である『暗い時代の人間性について:ハンナ・アーレントの人間学』 )を開催しました。講師は、椙山女学園大学人間関係学部准教授の三浦隆宏氏です。
三浦講師は初めに、今回の講座を通して、ハンナ・アーレントの「人間」についての解釈を知っていただきたいと述べました。次に「暗い時代の人間性」というタイトルについて、現在も暗い時代に当たるのではないかと述べ、そのような中で私たち一人ひとりが光明となりえるのだと語りました。
さらにアーレントの考えの1つである人間の「複数性」について解説し、「一人ひとり違う人間である」という考えを持つことの大切さを語りました。また、アーレントの考えを理解するきっかけとして自身が始めた「哲学カフェ」について説明し、人と対話する中で感じる自分らしさ、他人らしさに触れることができる空間であると述べました。
そして、アーレント自身が裁判を傍聴した、ナチス政権でユダヤ人大量虐殺に関わった人物であるアイヒマンについて、「陳腐で凡庸な人物」と捉え、彼の問題は「自身の頭で善悪を考えず、与えられた業務を遂行した無思考さに問題がある」と考えたと述べました。「考えないこと」は「大きな悪」を生む原因になり、私たち一人ひとりが悪を生み、流される可能性を持っていると述べました。
最後に、自身が講師の1人として登壇する12月10日(土)の「椙山フォーラム」では、「人間性の起源とゆくえ」をテーマにすると紹介し、「人間」について改めて考えるきっかけにしていただきたいと締めくくりました。