5月26日(木)、平成28年度第1回人間講座(人間論シリーズ4 人間の発達『やっかいな2歳児』 )を開催しました。講師は、椙山女学園大学看護学部教授、学長補佐である後藤宗理氏です。
後藤講師は冒頭で、2歳児を「やっかい」と思うのは大人の受け止め方であり、子ども側から物事を受け止めるために、我々大人たちはどう理解すべきかを考えていきたいと述べました。
まず初めに後藤講師は、2歳児は自分の意思で歩き回ることが可能となり、自己有能感が生まれ、自己主張をすることが多くなると説明しました。しかしこの変化は子どもの成長過程で必要不可欠であり、周囲の大人はこの時期にやって良いこと、悪いことを学ばせる必要があると説明しました。
次に発達理論上での2歳児の位置づけについて、発達心理学の2人の専門家、エリクソンとピアジェの理論をもとに説明しました。さらに、乳児期では周囲に愛される経験が大切であり、幼児期では様々な体験を通して遊びを充実させる必要があると話しました。また、子どもにとって「安心・安全基地」の場を作ることが養育者との信頼関係を築く上で重要であると解説しました。
続いて、ウォルター・ミッシェルによる「マシュマロテスト」という実験をもとに子どもの自己統制能力について解説し、4歳頃に見られる行動の違いが成長後も引き継がれることが多いと説明しました。
最後に、一人ひとりの成長にあわせて気長に成長を見守ることや、子どもが小さいうちに国を挙げて教育することが必要であり、「やっかいな2歳児」は長い人生の一コマであると考え、子どもと向き合っていくことが大切であるとまとめました。