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◆2015-05-28
『1メートルの長さの決め方』第1回人間講座を開催しました

5月11日(月)、平成27年度第1回人間講座『1メートルの長さの決め方』を新設された「キャリア教育推進ルーム」で開催しました。
講師は、森棟公夫本学学長・本学園理事長です。今回は、"1メートルの長さ"決定に至る過程で18世紀末の科学者達が行った科学的な冒険について講演を行いました。
最初に森棟学長は、今回の講演はフランス革命が背景になることを述べ、当時のフランスの科学者達が「物差しの共通化」や「十進法の推進」など壮大な計画を発案し、同じくそのとき発案された「統一尺度を作る」という目的のために「1メートルの長さを定める」ことになった経緯を説明しました。
科学者達は、まず地球1周を4000万mと定め、そのうえで地球の円周(子午線)を測量し、それを4000万で割れば1mの長さが決まると考えました。しかし、そこで問題になるのは「地球は一体どんな形なのか」という疑問であり、森棟学長はビーチボールを地球に見立てて説明しました。地球が球体であれば円周を求めるのは簡単ですが、楕円の場合であると数学的に計算が難しくなります。
次に森棟学長は、大航海時代まで時を遡り、当時の人々が船で地球を一周できるようになったことで、地球が実際に丸いことを実感できるようになったと話しました。しかし、大航海時代より後の1687年、ニュートンが自著で「地球は円球ではなく回転楕円形である」と述べていることを解説しました。18世紀に入り、科学者達はニュートンの言葉が事実か確かめるために測量を行い、実際に地球は赤道方向に長い楕円であることが分かりました。
さらに、森棟学長は、18世紀末の科学者達があえて難しい子午線に沿った楕円周の測量に挑み、18世紀前半に行われた測量結果も含めて、地球の円周を求め、そこから1mの長さを決定したことを説明しました。そして、1799年に世界初のメートル原器が作成され、さらに1879年には新たなメートル原器が作られたことを解説しました。
最後に森棟学長は、伊能忠敬の日本地図の測量の正確さについても触れ、昔の人々の技術の高さや、過去の科学者達がいかに科学の発展に寄与していたかについて考える時間となりました。

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