Sugiyama 椙山女学園

椙山女学園 椙山人間学研究センター

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◆2019-05-31
令和元年度 第1回人間講座を開催しました

 5月22日(水)、椙山人間学研究センター主任研究員でもある人間関係学部教授の杉藤重信氏を講師として、令和元年度第1回人間講座「動物との関係を通して人間を考える」を開催し、64名に参加いただきました。
 杉藤氏は、オーストラリアでフィールドワークを行っており、まず、オーストラリア大陸の成り立ち、オーストラリアへのアボリジニの移住、その移住に伴う侵入生物の到来と、急増した狩猟によって絶滅に追い込まれた動物について説明しました。
 さらに、次の段階としてオーストラリアへのヨーロッパ人による植民が開始され、農牧業などの人間活動の結果、新たに家畜やペットとなる侵入生物が人間により意図的に到来しました。また、同時に貨物船などにより上陸したネズミや蟻などの非意図的な侵入もあり、在来種を守るためにそれらの大規模な駆除を行うことになりました。
 人間は文化を活用して、史上類を見ないほど地球上に分布を拡げました。ペットを飼育する一方で、放棄・放置をして野生化させ、また、人間の利便性を追及するために品種改良という名目で生物の生殖に介入し、遺伝的変異を起こしました。杉藤氏は、これらは人間のご都合主義であり、人間は地球史上最強の「侵入生物」であるという見方を示しました。
 人間は、動物を含む自然を支配し、自分たちを中心とした生活を享受しているかにみえますが、人口増加、環境破壊、温暖化、生物多様性の崩壊や、食糧不足など様々な危機的な状況が指摘されています。人間自身が自己家畜化していることにも自覚がない人類に未来はあるのか、という疑問を投げかけ結びとしました。

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