Sugiyama 椙山女学園

椙山女学園 椙山人間学研究センター

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◆2015-10-26
平成27年度第3回人間講座を開催しました

10月1日(木)、平成27年度第3回人間講座(人間論シリーズ2 人間は、道具によってのみ人間である『世界のモノづくりから“くらし”を考える』)を開催しました。
講師は、国立民族学博物館名誉教授の小林繁樹先生です。小林講師は文化人類学、博物館学を専門に、諸文化における、身体の動きと道具との関連について考察する道具人類学的研究などを行っています。
まず小林講師は、人類の特長について「直立二足歩行」「道具の製作」「火の利用」「言葉の使用」の四つを挙げました。そして、直立二足歩行によって手が自由になり道具製作が可能となったこと、石器を使って肉食を始めたことが脳の大型化・活発化につながったこと、言葉によって道具の作り方を後世に伝達できるようになったことなど、大変長い時間をかけるなかで、それぞれが相互に関連し、人類のくらし方に影響を与えたと説明しました。
また、道具・文化に関する人間と他の動物との違いについて解説しました。例えば、カレドニアガラスが適当な大きさに加工した小枝を使って倒木の中の虫を捕まえる行動があります。こういった動物の文化的行動は、特定の群れの中で特定の行動が世代を超えて伝達されるだけであるのに対し、人間は種として文化を持っており、どこでも誰でもが文化・生活様式を持っていると話しました。
次に小林講師は、イヌイットがアザラシ狩りの際に使用するスクリーン(隠れみの)、アイヌの人々が使う口琴、タイのモン族が使用するイネの穂づみ具など、世界中の様々な変わった道具を写真で紹介しました。また、ミャンマー内陸に住むインター族の男性が足で櫂を操る様子や、カンボジアの竹筒琴という楽器を演奏している様子などを動画で紹介し、実際に様々な地域の人々がどのように道具を使用しているかを解説しました。
小林講師は、道具はくらしや文化に深く関わり、特定の目的に合致して製作・使用されていると話しました。最後に、道具づくりをさらに発展させるためのヒントを交えながら、人間は今後も道具を作り続け、未来に向けて更なるくらしの可能性を広げていかなければならないとまとめました。

(写真左から、小林繁樹氏、講座全体の様子、イヌイットのアザラシ狩り用のスクリーン)
(二段目左から、モン族のイネの穂づみ具)

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